[ Home | About | Works | Essays | Links ]

Works

[ 1 | 2 ]
@
2001年3月1日(Day 1)

Day 1

5年間のアメリカ生活を終え、日本に帰ってきたのが1999年3月末。1998年にアメリカのリノにある大学を卒業した後、ロサンゼルスに移って、そこで1年間フォトグラファーとして仕事をしました。イスラエル人が経営する、宝石アクセサリーをデザインして店舗に卸す会社で、広告用に商品を撮影する仕事です。その仕事をしながら、Photoshopを使った画像編集や、ウェブ制作の基礎なども学びました。

日本に帰国してから、アメリカで身につけたITのスキルを活かして、インターネット・サービス・プロバイダーに就職して仕事を始めました。カスタマーサポート業務や、パソコンインストラクターの仕事、そしてウェブ制作の仕事など、ITやインターネットに関するさまざまな仕事を担当しました。

なかでも、ウェブ制作はとても面白く、地元の企業や商店、代議士さんののサイトなどを数多くつくっていくなかで、もっと自分のスキルを伸ばしたいという思いがありました。

そこで、ふと思い立って、2001年3月1日から、自分のホームページのデザインを毎日リニューアルし続けるということにチャレンジしてみたのです。一番最初につくったのは、自分が学生時代を過ごしたリノを起点として、社会人1年目として仕事をしていたロサンゼルス、そして日本に戻ってきたというその流れを表現したデザイン。RNO→LAX→JPNという、それぞれの都市の略語もデザインに組み込んでいます。背景にうっすらと写っているのは、学生時代に写真を学んでいた時のクラスメイト。実際にモデルとしても活動していた友人に、私の写真のモデルになってもらった時のものです。

@
2001年3月2日(Day 2)

Day 2

2つ目のホームページデザインは、「EVOLUTION」、つまり進化がテーマです。フォトショップで制作中の画面をそのままデザインに使っています。

日本に帰ってきてすぐ、就職したてのころはまだお金がなく、Photoshopを購入することができませんでした。なので、当時はPhotoshopの体験版を利用していました。普通の製品版と同じようにほぼすべての機能は使えるのですが、その体験版はつくったデザインの保存ができないという制限がありました。せっかく写真を編集したり、デザインをつくったとしても、ファイルを保存することができない。なので、私はそのつくったデザインをスクリーンキャプチャで撮影して、画像ファイルとして保存をしてました。

このトップページを毎日更新するプロジェクトを行っていた頃は、もう自分のパソコンにPhotoshopをインストールすることができていましたが、この作品はあえて画面のスクリーンキャプチャを使って制作しました。

自分のウェブ制作における環境やスキルの進化を願った作品です。

@
2001年3月3日(Day 3)

Day 3

パソコンでつくったデザインは、直線がきっかりとまっすぐになりがちです。美しい直線や、読みやすいフォントなどを使ったデジタルアートの作品やデザインも良いですが、時には手描きの文字であったりとか、リアルなブレやゆがみなどもデジタルで表現できたら面白いだろう、と。

学生時代に制作した陶芸作品の写真や、ウェブサイトのデザインと連動したCD-ROMのパネルデザイン、そして手描きの殴り書きのような文字なども組み合わせてデザインを制作しました。

毎日1つずつホームページのデザインを制作して更新していくことのハードさを実感していました。

@
2001年3月4日(Day 4)

Day 4

3月4日は日曜日でしたが、私の職場はパソコンスクールの事業も行っていたので、土日が出勤日でした。だいたい1日に12時間以上勤務して、休みは週に一回だけ。木曜日が休みでした。この企画をスタートした3月1日がちょうど定休日だったため、この企画を思い付きでスタートしてみましたが、さすがに1日1回の更新は大変だな、と思ったのがこの頃。

実は、4日目のデザインは間に合わず、このデザインはあとからつくったものを4日目に振り分けました。つまり、1日に二個以上のデザインを制作して、過去分に割り振ったということ。

頭でじっくりと考えてつくるというよりは、もう反射的にゴリゴリと作り続けるという感じで。隙間時間を活用しながら必死でページを作り続けていきました。このデザインも、過去に作ったものをいろいろ組み合わせつつ、「分裂 融解 統合 破壊 創生」というものづくりのフロー的なものを表現しました。

@
2001年3月5日(Day 5)

Day 5

5日目のデザインは少し作り方を変えて。シンプルなレイアウトに文字をレイアウトしていくという、「ビジュアル・ポエトリー」的な作品です。

蛍光灯の光、頭蓋の裏に突き刺さる。
目を閉じると、どこまでも落ちていく感覚。
今日と同じ昨日。昨日と同じ今日。 今日と同じ明日。明日と同じ昨日。
今日と同じ昨日。昨日と同じ今日。 今日と同じ明日。明日と同じ昨日。
明日と同じ今日。今日と同じ明日。昨日と同じ明日。今日も同じ一日。
どこまでも落ちていく。蛍光灯の光。

ページの右下には、その日の日記が書かれています。

@
2001年3月6日(Day 6)

Day 6

引き続き、フォントで遊びながら。解像度で遊んでみた作品です。

背景の写真は、わざと解像度を落としたような表現で。ピクセルのギザギザが目立つように加工しています。

手前のサムネイルは、綺麗な画質のまま。

この写真は、私が学生時代を過ごしたアメリカのリノの街を撮影したものです。撮影に使ったのは、1950年代に旧東ドイツで製造されたExakta VXというカメラ。学生時代、よくこの骨とう品カメラで写真を撮っていました。

@
2001年3月7日(Day 7)

Day 7

7日目の作品。数字の「7」がデザインに組み込まれています。

「根拠のない期待
希望とか、
夢とか。
そんなものを
信じてたかった。」

目標に向かって努力を続けているときに、逆境の中でもなんとかポジティブでありたいと思っていても、ふとした時に「あぁ、もうダメかもしれない」と落ち込んだり、自暴自棄になりかけたりすることがあります。でもそんなときでも、やっぱり夢や希望を持ち続けたいと思うのです。それがなくなってしまうと、自分の存在意義も否定されてしまうような気がして。

写真に使ったのは、秩父線の樋口駅。自分が育った町です。暗い中に、光りが希望を表しています。

@
2001年3月8日(Day 8)

Day 8

8日目。この日も白背景でシンプルなデザインに。

この真空管は、学生時代に作品の一部として使っていたもの。もともとは、ものすごく旧式のブラウン管テレビに使われていたものです。そして、サムネイルの写真はこちらもリノです。

「最近はまっていること」として、以下の4項目が書かれていますね。
1.何かを考えながら歩くこと
2.写真・画像を加工すること
3.電車の中で本を読むこと
4.やりたい事を見つけること

やりたいことというか、やってみたいことや、やったら楽しそうなことなどは、今でもいつも探しています。

@
2001年3月9日(Day 9)

Day 9

9日目。制作中の画面をスクリーンキャプチャをして、それを写真と組み合わせつつ、この「日替わりトップページ」のプロジェクトを実行している自分の気持ちを文章で書いている。

ほぼ脊髄反射的にスピード重視で次々と作品をつくり続けているから、こういう作者の心の声が作品に反映されやすくなるのだと思う。これはこれで、あとから見返すとすごく面白い。

この頃になると、少しずつ制作のペースがつかめてきて、リズムが保てるようになってきた。

@
2001年3月10日(Day 10)

Day 10

赤色は自分の作品の中でも重要な意味合いを持つ。このサイトの現在のトップページを見ても分かるように、真っ赤な色遣いのデザインもつくっている。

この作品のモチーフのひとつは、学生時代に制作した頭蓋骨を表現したコラージュ作品が使われている。そのイメージに重なるようにして、フォーチュンテラーマシーンの内部を撮影した写真がオーバーレイで見えている。

日本語の文章と、「Emotional Hell」という単語と、そして10作品目を表す「10」の数字と。

何かを伝えるというよりは、自分の内側にあるものを絞り出すように発散させるような。そんな創作表現のフェイズ。

@
2001年3月11日(Day 11)

Day 11

この11作目のデザインは、ひとつ前の10作目のものと同じタイミングでつくったものだと思う。目の前の画像から想起されるものを思い浮かべて、それをそのままイメージに落とし込むというような作業。

成人式の集合写真をイメージ転写の手法で表現した版画作品を使って、それぞれの人物にラベルをはるという。このラベル自体にはあまり意味がない。そこに写っている実際の人物とは関係なく、ただ言葉として思い浮かんだワードを書いていった。

世の中の人々と、そして自分という存在との対比。アウトキャストとして、日本からはみ出してしまったような存在の自分は、はたしてこの集合写真の中で居場所はあるのだろうか、という。

@
2001年3月12日(Day 12)

Day 12

この日替わりトップページのプロジェクトもだいぶ順調に進行できるようになったのだろう。この日は、100個の待ち受け画像をつくった。この当時、僕はD502iという三菱電機製の携帯電話を使っていた。確か、液晶画面がカラーになったばかりのケータイだったと記憶している。その画面に、自作のオリジナルの壁紙が設定できるので、いろんな画像を加工して、自分だけの待ち受け画像をつくっていた。

やがて、携帯電話がどんどん高スペックになっていき、パケ放題などで通信料が手ごろになってくると、いろんな待ち受け画像をつくって公開するサイトが増えていった。そんな中、最初は自分の個人的な用途でつくっていた待ち受け画像であったが、ガラケー用のサイトをつくって公開したらなかなか好評で、次第に雑誌に掲載されたり、企業から制作の依頼が来るようになり、2002年から2008年頃にかけてひたすらたくさんの待ち受け画像を作り続けるという時代があった。

もうそれは、職人のように、いろんな作品をつくり続けて、一番多い時には約50個のモバイルサイトを運営していた。

そして、そのモバイルコンテンツ制作がどんどん楽しくなっていき、2007年から携帯電話の通信キャリアやモバイルコンテンツの制作を手掛ける会社に転職する、と。
そして、仕事でもいろいろなモバイルサイトを制作し、また通信キャリアと協業でサービスの立ち上げなどにも関わるようになる。

この頃はまだ、そんな人生を歩むことになるとは想像もしてなかったが。

@
2001年3月13日(Day 13)

Day 13

13作目。だんだんと限界を突破していくような感じ。リミッターがはずれるというか。

このチャレンジを始めてから約2週間。次のステップに進んだのかなと思うけど、まだ実際には同じ手のひらの上で踊っているだけかもしれないが。

なんいしても、ますますチャレンジが面白くなってきた。

「二千年の憂鬱」をキャッチコピーにした作品。おもちゃのトイソルジャーが、戦争をイメージさせる。歴史の中で、過去の過ちが繰り返される。

@
2001年3月14日(Day 14)

Day 14

14日目の作品は、一件画像読み込みエラーのようなデザイン。けど実際は、この画面は周到に準備されて、細かくデザインされたもの。

What you think it is may not be what it really is.

14番目のページ。表示エラーになっている14KBの画像は、もちろんはなから存在してはいない。

@
2001年3月15日(Day 15)

Day 15

15作目で、また先頭に戻るようなループ。光の流れ。そして、また1作目と同じ登場人物。

シカゴのホテルに置いてきた、小さな石が二つ。

さて、ここから先の展開は?

@
2001年3月16日(Day 16)

Day 16

16日目のトップページデザインは、これまでとちょっと趣向を変えて。少し和風のデザインに。

背面の画像は、ポラロイド・イメージ・トランスファーの手法で作成した作品をスキャンしてデジタル化したもの。うっすらと写っているのは、複数の洋梨です。自宅の机の上に撮影できるように背面の布をセットアップして、そこに洋梨を置き、次第に干からびていく様を撮影しました。当時は、アメリカのネバダ州にあるリノという砂漠気候の街に住んでいたので、フルーツは腐るより早く干からびていくので。

通常は、info、works、bbs、mailとメニューリンクを設置するところを、このデザインでは主、集、書、問という風に感じ一文字ずつで表現しました。

@
2001年3月17日(Day 17)

Day 17

なにかを伝えるというよりは、あえて伝えるのを放棄したような作品。個人的にシンボリックな意味をもつ画像を並べた作品。

学生時代に、「複製によるDeterioration」をテーマにした版画作品を制作しました。アナログな手法でコピーを繰り返すことにより、イメージは劣化していくということを表現した作品。版画の手法でコピーしたものを版として、それを使ってまた新しい作品を制作し、それをまた版とし、さらにまた作品をつくっていくという。それを、できる限り長く続けるというもの。できたイメージ自体も作品ですが、どちらかというとその「複製をし続ける」という行為自体が作品であるというもの。

日替わりトップページプロジェクトも17日目。

@
2001年3月18日(Day 18)

Day 18

18日目のトップページデザインも、過去の作品からのループがありつつ。黒背景に、学生時代の陶芸作品の写真と、おもちゃのトイソルジャーの画像。手前にあるのは神社の写真。そして、「導」の文字。左の隅にある落書きの線も、ベースとなったのは洞窟のある岩壁の神社を描いたもの。

神的な存在と、それに率いられる群衆というようなものを表現してみた。

@
2001年3月19日(Day 19)

Day 19

10日目にも登場した骸骨のイメージを、もっとはっきりとメインの画像として使ったのがこの19日目のデザイン。

深夜の大学の教室で、作業用のテーブル一面に図鑑から切り抜いた動物や魚の写真を広げ、それを手でちぎりながらコラージュ作品を作成しました。額の部分にサメ。後頭部には巻貝の写真。鼻のあたりにいるのは、上向きのアンテロープの頭部だと思う。ベースとなった骸骨のモチーフは、アンディ・ウォーホルの作品を参考にしている。その絵を光と影に分解して、その明るさの濃淡に合うような写真を図鑑の中から選んでいくという作り方。最後に、全体のトーンを整えるためにパステルで描きこみをしています。

10日目と同じ素材を使いつつ、主題を変えることで異なるデザインをつくりました。

@
2001年3月20日(Day 20)

Day 20

20日目のテーマは、「薄れていく記憶」。砂漠の真ん中でクラスメートにモデルになってもらって撮影した写真と、長時間露光で光が流れていくようなイメージを重ね、右側の背景にある画像は自動演奏式のバイオリン。

シンプルに画像を組み合わせて、表現しました。

@
2001年3月21日(Day 21)

Day 21

赤と白と黒。三つの色だけで表現したデザイン。

リノの砂漠を通る道で撮影した写真。大きなトレーラーが通り過ぎる瞬間。右下にあるのは、当時僕が乗っていた車。

卒業の6週間前に、親しい友人を交通事故で亡くしました。同じタイミングで大学に入学をして、学部は違いましたが同じクラスをとったことがあり。その子の家にもよく遊びに行ってました。卒業したら、宝飾デザインの専門学校へ行き、その後日本に帰ったら家業のビジネスを継ぐのだと言ってました。ラスベガスの宝飾デザインの展示会に参加した時は、お土産に小さな真珠をもらいました。1998年5月の卒業式に、一緒に参加する予定だったのですが。

しっかりした目標に向かって進んでいた彼女が亡くなって、なぜかぼんやりと生きているだけの自分が生き残ったのがなんとしても腹立たしくて。やるせなくて。卒業後、彼女の夢の分も精一杯生きたいと、アメリカに残って職探しをしてみることを決意しました。大学卒業時に、1年間だけ仕事ができるビザを申請することができるので。


@
2001年3月22日(Day 22)

Day 22

「desert debris」とは、以前僕がつくった作品のタイトル。ギャラリースペースに、ドローイングや陶芸など学生時代の作品をぶちまけたような展示をしました。砂漠の塵というテーマで。それらの作品も塵となるだろう、と。

緑色を基調として、いくつかの画像を組み合わせた作品。角丸の長方形で囲われた画像は、学生時代に制作した陶芸彫刻作品です。赤ちゃんの人形の頭部を石膏で型取りして、陶芸粘土で大量の赤ちゃんの頭をつくり、それを使っていくつもの作品を制作しました。

その作品のほとんどは、大きすぎて持ち運べないので、日本に帰国する際に叩き割って捨てました。

@
2001年3月23日(Day 23)

Day 23

1996年12月30日にアメリカの長距離鉄道「アムトラック」に乗車し、二泊三日の車内で年越しを迎えた後、シカゴに到着しました。15日間のアメリカ周遊旅のはじまりです。シカゴで泊まったのが、「Tokyo Hotel」という、当時一泊30ドルの格安のホテル。ロケーションは良いのだが、建物は古く、壁紙はボロボロで床のタイルもひびだらけ。夜中に銃声っぽいものが聞こえてビビるというような場所でした。

僕は、ここがとても気に入って、ワクワクしながら泊まったことを覚えています。その、ホテルで撮影した写真を使ったのが、この23日目のトップページデザインです。

@
2001年3月24日(Day 24)

Day 24

黄色を基調色として、遠くから街を見下ろす写真を使い、「風神」という文字が書かれている。鉛筆ツールで描かれたデジタルグラフィック的な線と。24の数字。

24日目につくったトップページデザインです。

日替わりでトップページのデザインをつくって毎日更新し続けるというチャレンジも、だいぶペースをつかんで慣れてきたように思います。会社勤めの中、通勤時間も長い上、かつ週に休みが1日しかないので使える時間は限られているのですが、そうした制限の中でチャレンジするのは、楽しいです。

@
2001年3月25日(Day 25)

Day 25

ちょっと、近未来的な雰囲気で。ネオンが光る街の風景。中央下部には、自分の顔写真も。

元の写真はとてもシンプルなもので、京都で撮影した商店街の写真を加工して使っています。

この作品をつくった少し後だったと思いますが、いろいろな写真をひたすら左右対称に加工するという遊びにハマって、Photoshopで左右対称の画像をたくさんつくっては、待ち受け画像としてサイトに公開していたこともありました。

その、左右対称シリーズの、原点がこの作品ですね。

@
2001年3月26日(Day 26)

Day 26

長瀞の山の中を撮影した写真。ロシア製のトイカメラ「LOMO LC-A」を気に入って、よくこのカメラで撮影をしていました。

「26th Scream」という文字。26回目の叫び。

日替わりでトップページをデザインするというシリーズ作品の26個目です。

@
2001年3月27日(Day 27)

Day 27

事実上、このシリーズ作品の最後となるのがこの27番目のトップページデザイン。

デザインの中に「closure」と「disclosure」の両方に読める文字が書かれています。

Closureは終焉の意味。そこにdisをつけると開示になります。ここで終わるものと、ここから始まるものと。

@
2001年3月28日(Day 28)

Day 28

28日目の作品は、デザインと画像の切り出しまでは行ったものの、公開されることはありませんでした。こちらは、未完のまま、切り出された画像ファイルだけがフォルダの中に残されていました。

日替わりでトップページを更新し続けるというプロジェクトは、これでいったん終了です。

当時私は、埼玉県の地元から往復三時間の通勤時間をかけて、インターネットサービスプロバイダーの会社で仕事をしていました。小さな会社だったので、カスタマーサポートからパソコンのインストラクター、チラシ作り、ウェブ制作など、様々な仕事をしていました。就業時間は、朝の10時からだいたい夜中の22時まで。仕事が終わってから家に帰り、夕飯を食べ終わったころには深夜を超えることがほとんど。そこから自宅のパソコンに向かって、その日のトップページのデザインをつくり、アップして更新をするという作業を1か月間の間ほぼ毎日行っていました。木曜日が定休日だったので、その日はある程度作りだめすることもできましたが、基本的に当日つくっていたことが多いように思います。

たいへんでしたが、楽しかったですよ。別に、誰からも頼まれたわけでなく、ただ自分が「これをやってみよう!」と思って始めたことなので。続けるのは自分の自由。そして、やめるのも自分の自由です。

というわけで、27日目の作品を完成させて、28日目のこの作品は未完のまま残りました。

ただし、このシリーズはあとひとつだけ作品が残っています。

@
最後のトップページデザイン

Day 29

29番目のトップページ作品。こちらが、このシリーズ最後のデザインとなります。

見てお分かりのとおり、こちらのデザインは2001年3月5日の「Day 5」のデザインをほぼそのまま使っています。ただ違うのは、デザイン内のサムネイル画像が、ページにアクセスするたびにランダムで切り替わるということ。この、日替わりトップページのプロジェクトで制作したデザインを含む20個以上の画像がランダムに表示される仕組みになっています。

このページをつくってからしばらくの間、このデザインが日替わりではなく自分のサイトの正式なトップページとしてずっと公開されていました。

さて、このチャレンジ企画の後日譚ですが、2001年3月にこの企画を行ったあと、6月に転職が決まりました。東京の恵比寿にある会社のウェブ制作のチームで、フルタイムのウェブデザイナーとして勤務することになったのです。この、日替わりトップページのプロジェクトがその選考のきっかけになったかは分からないですが、「TOMAKI.com」のサイトを見てくれたその会社の方が、声をかけてくれたのです。もちろん、二つ返事でOKです。

その会社で約5年間、さまざまな会社のウェブ制作案件に関わりました。そこからさらに、モバイルコンテンツを制作する会社で5年ほど仕事をしたのち、10年前に現在の広告代理店グループの会社に転職し、依頼ずっとデジタルマーケティングの制作案件でプロジェクトマネージャーとして仕事をしています。

あれから20年以上経ち、ウェブ制作の現場も大きく変わりましたが。今でも「日曜アーティスト」として趣味の創作活動を続けています。過去の創作活動履歴をまとめるにあたって、データをバックアップしていたハードディスクを掘り返していたら、この20年以上前のTOMAKI.comのホームページデザインのプロジェクトが出てきたので、新たに組みなおして復活させてみました。当時の懐かしい思い出と共に。あまりにも駆け出しの頃で、勢いはあるけどまだまだ稚拙で、未熟で、ある意味自分の黒歴史ではあるのだけれど、これはこれで面白いので、そのまま公開しておきます。今の自分をかたちづくっている一部であることには間違いないので。

とにかくがむしゃらに進んでいくと、ふと道が拓ける瞬間があって、面白い人生が歩めたりします。楽しいですよ。


[ 1 | 2 ]
© 2000 tomaki
All Rights Reserved