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■ 日替わりホームページデザイン

アメリカに留学してリノの大学でアートを学び、卒業したらホームレスになった。リノのアパートを引き払い、家財道具は知人のガレージと倉庫に預け、車で放浪しながら職探しの旅。

サンディエゴから北上し、ロサンゼルスへたどり着き、ウィークリー料金で格安の宿を確保して、そこを拠点にして就職活動をした時の体験は、こちらの記事に書いた。本当にタイヘンだったんですよ。

なので、日本に帰ってきてからまたゼロから就職活動をしなければいけないことになっても、わりとのんびりしていました。何かしら、仕事は見つかるだろう、と。日本語と英語、そして多少のスペイン語もできる。ITの知識とスキルも身につけてきたし、写真やアートなどのクリエイティブな技能は大学で十分学んできた。

さて、と。見渡してみたものの。地元ではなかなか就職先が見つからないまま。4月に就職活動を初めて、ようやく仕事が見つかったのはもう季節が夏に差し掛かかる頃でした。

埼玉県ローカルのインターネットサービスプロバイダー。社員はたぶん2,3名。パートタイムの人が入れ替わりながら数名働いている小さな会社で、最初はホームページの翻訳をするという仕事から始めました。その仕事を納品したころに、そこの会社で働くようになり、ウェブサイトの制作や更新の他、パソコンスクールのインストラクターだったり、プロバイダーのお客さんのカスタマーサポートだったり、チラシをデザインしたりホスティングサーバーのユーザー管理をしたりなど、ITやインターネット周りのいろいろなこまごまとした仕事をひたすらこなしました。

中でも、ウェブ制作の仕事がなかなか面白くて。最初は既存のウェブサイトの更新業務を行っていましたが、そのうちお客さんのサイトもつくるようになりました。地元の商工会のサイトや、焼肉組合のサイト、レストランやカフェ、ホテル、アイドルのポスター販売のサイトや、代議士さんのサイトまで。「ホームページ」というものをつくってみたいけど、どうやってつくれば良いのか分からないという事業主さんが、うちの会社に依頼をしてきて、それを僕がつくるという流れが多かったです。

僕自身も、スキルアップのために会社のホスティングサーバーの他にも、自分でドメインを取得していくつかサイトを立ち上げてみました。趣味の写真のサイトや、超短編小説を発表するサイトなど。ちょうど携帯電話向けのモバイルサイトをつくり始めたのもこの頃。CGIなどのスクリプトをカスタマイズしながら、検索機能や掲示板、カウンターなどが付いたサイトをつくって、実験をしながらスキルと知識を磨いていました。

2001年3月1日に、ふと思い立って自分のウェブサイトのホームページを1日で更新してみようと思いました。そして、それから約1か月間、毎日トップページを日替わりでリニューアルしていくという、ちょっとしたチャレンジ企画を実行します。

ページのデザインを作成し、それをウェブ用に最適化した上で、ページとしてナビゲーションやリンクを設置してコーディングする。仕事が終わって家に帰ってくるのは深夜近かったですが、そこからその日のウェブページを制作して、アップする毎日。楽しかったですよ。思えばあの頃は、仕事もすべてパソコンを操作しながらの作業だったし、その合間の息抜きもパソコンの前にいたし、さらに家に帰ってきてからも休みの日もずっとパソコンとインターネットにどっぷりと浸かって生活をしていました。あまりにもずっとオンラインでパソコンでの作業ばかりしているので、ついついオフラインになった時でもコピペのショートカットを使おうとしたり、Ctrl+Zの「やり直し」を現実でもやろうとしてしまったり。

なので、この日替わりでトップページを更新し続けるという企画も、もちろんウェブ制作のスキルとスピードを向上させるためのトレーニングではありますが、単純に「楽しいから」という理由で始めました。

最終的には、27日間で27個のページデザインを日替わりで更新し続け、28個目が途中で終わりました。そして、5日目につくったデザインをベースに29個目のホームページデザインを作成し、その後しばらくそのデザインが自分のホームページになるという。

その、ひとつひとつのホームページデザインの作品解説と、それぞれ実際のページを今回ハードディスクの奥の方から掘り起こして、復刻版として20年以上ぶりにサーバーにアップして公開します。

29個のホームページデザインの一覧は、こちらから。


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