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■ Fotologから渋谷の地下へ

Instagram(インスタグラム)が誕生したのは、2010年10月。「へー、面白そうだな」と思って、僕がアプリをiPod Touchにダウンロードして使い始めてみたのが2011年1月。以来、11年間で2.2万件の投稿をしてきました。1年間に平均して約600枚の写真をInstagramにアップし続けています。

https://www.instagram.com/t0maki/

写真を撮るのが好きです

もともと写真を撮るのが好きで。小学生の頃に110フィルムのコンパクトカメラを買ってもらってすごくうれしかった記憶があります。さらにうれしかったのが、小学校の修学旅行の前に買ってもらった富士フイルムの「カルディア」っていうコンパクトカメラ。それからずっとそのカメラを使い続け、学生になるまでそのカメラで写真を撮っていました。

学生時代はアートを専攻し、写真も大学でクラスを受講して本格的に学びました。自宅のバスルームを暗室にしてフイルムを現像したり、そこに現像機を持ち込んで写真をプリントしたりなどもしてました。Ekxakta VXっていう、1950年代に旧東ドイツでつくられた一眼レフカメラを蚤の市で購入し、それを使ってよく写真を撮っていました。他にも、Pentaxの一眼レフカメラや、Argus C3っていうばね仕掛けのシャッターがユニークなカメラや、めちゃめちゃ古い蛇腹式のカメラなども使っていましたよ。時々、ブリキ缶でピンホールカメラを作って、そこに印画紙を入れて写真を撮ったりなども。おもちゃみたいなカメラを使って写真を撮るのが当時からとても好きでした。

大学を卒業して、ロサンゼルスで写真の仕事をするようになるのですが、毎日毎日宝石アクセサリーの広告用写真を撮るのが退屈で。仕事で写真を撮るようになってからは、プライベートではカメラからだんだん離れていってしまいました。

日本に帰国してからしばらくは写真もあまり撮らなかったのですが、とても運命的なカメラとの出会いがあって、また写真熱が再燃。ロシア製のLOMO LC-Aというトイカメラなのですが、ユニークな形をしたレンズが特徴で、写真の四隅が暗くなるような写真が撮れます。そのカメラをきっかけに、いろんなトイカメラで写真を撮るようになりました。

Fotologに投稿していたらNYの写真集に

Instagramが生まれるよりずっと前に、Fotolog(Fotolog.net)っていう写真投稿サイトがあって、僕はよくそこに写真をアップしてました。世界各国から写真が好きな人たちが集まっていて、それぞれが個性的な写真を日々アップしていました。1日に1枚しかアップできないのがそのサイトの特徴。だから、毎日厳選した写真を投稿する、と。いろんな国の素晴らしい写真が並んでいる中、なぜかブラジルの人たちはひたすら自撮り写真をアップしているのが多く、不思議な文化だなぁと思いました。現代のInstagramでは自撮り写真はむしろ当たり前で、全然不思議ではないですがね。

2006年に、Fotologに投稿された世界各国の写真を集めた「fotolog.book」という写真集がニューヨークの出版社から発売された時、幸運なことに僕の写真も掲載してもらえることになりました。

数々の素晴らしい写真家たちによる作品が並ぶ中、僕の写真はロサンゼルスで撮影したピンホール写真でした。この時使ったカメラは、フイルムケースに穴を空けただけの自作のピンホールカメラ。ゴミとして捨てられるフイルムケースを使っているので、僕のカメラの値段はゼロ円です。

こんな風に、高級なカメラじゃなくても良い写真が撮れるんだってことを証明できて、うれしかったです。

渋谷の地下道でゲリラスタイルの写真展

Fotologに写真を投稿していてよかったと思えるできごとがもうひとつ。2003年の夏に渋谷の地下道で写真展を開催しました。

Fotologに投稿していた、LOMO LC-Aと、CyberSamplerという四連写カメラで撮った写真をプリントして、それを展示するという企画なのですが。この写真展はゲリラスタイルで開催されました。とりあえず地下道にババッと写真作品を展示して、それを眺めてニヤニヤして。すみやかに撤収、と。暗がりにまぎれて、当時まだ結婚する前だった嫁さんと一緒に、「早く早く!」と写真を展示。楽しかったですよ。

本当は、ちゃんとしたアートギャラリーなどでしっかりと展示をすればよかったのかもしれないですが。「日曜アーティスト」の自分としては、むしろこういった展示があっていると思います。

あれから20年近く経っていますが、相変わらず僕が開く写真展は、都電荒川線を貸し切りにして移動しながらの展示だったり、あるいは中銀カプセルタワーでチェコをテーマにしてその場限りの写真展示など、刹那的なものばかり。そういうのが、楽しいんですよね。


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